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平成26年5月1日

弁護士 亀井 美智子

【Q14】 地域包括支援センターとはどういうところですか?

私は、父が、同居している兄から虐待を受けているのではないかと思い悩み、区役所に相談に行ったところ、近くの地域包括支援センターに相談するように言われました。地域包括支援センターというのは、区が運営しているのではないようですが、何の仕事をしているところなのか、どういう人が相談にのってくれるのか、不安です。教えてください。

 

【A14】

地域包括支援センターは、昨今の急速に高齢化が進む社会に対応して、高齢者の健康を保持し、できるだけ地域で自立した日常生活を営めるよう支援するための中核的機関です。平成18年4月に施行された改正介護保険法に基づいて設置されました。区から委託を受けた法人が運営している場合もありますが、社会福祉士や主任ケアマネージャー等の専門家が相談に応じてくれます。

 

【解説】

1 地域包括支援センターの現況

地域包括支援センターは、厚生労働省の調査によれば、平成24年4月現在、全国に4,328カ所設置されており、ブランチ(総合相談窓口)、サブセンター(支所)を入れると、7,072カ所です。

市区町村から包括支援事業の実施の委託を受けた者も、地域包括支援センターを設置することができます(介護保険法115条の46、3項)。この場合も責任主体は市区町村です。

前記厚生労働省の調査によると、市区町村の直営が約3割、委託が約7割で、委託法人は、社会福祉法人が53%、社会福祉協議会が19%、医療法人が16%となっており、委託法人の割合が増える傾向にあるようです。

 

2 地域包括支援センターの仕事

  主に以下の4つの仕事を行います。

(1) 介護予防ケアマネジメント

 要介護状態になるおそれが高い65歳以上の高齢者について、介護予防ケアプランを作成し、そのプランに基づき介護予防事業等が実施されるよう援助を行います。

 

(2) 総合相談・支援

   地域の高齢者が住み慣れた地域で生活を継続していくことができるようにするため、専門的・継続的な相談支援を行います。

 

(3) 権利擁護

   成年後見制度の活用促進、老人福祉施設等への措置の支援、高齢者虐待への対応などを行います。

 

(4) 包括的・継続的ケアマネジメント支援

主治医、ケアマネージャーなど関係機関との連携を図り、個々の高齢者の状況や変化に応じて日常的に個別指導・相談を行い、包括的で継続的なケアマネジメントを行います。

 

3 人員体制

  地域包括支援センターには、社会福祉士、保健師、主任介護支援専門員(ケアマネージャー)などの専門職がおかれています。

主な担当内容としては、保健師は介護予防ケアを、社会福祉士は、総合相談や、各種介護支援機関やサービスとの連携、虐待防止、成年後見など権利擁護事業を行います。また、主任ケアマネージャーは、包括的継続的マネジメントとして、日常的な個別指導や相談、指導、助言や、医療を含めた継続的な長期ケアを行います。

 

4 課題

地域包括支援センターの今後の課題としては、①介護予防の取り組みが、一つのセンターで多数の対象者をかかえ、職員不足もあり、不十分であること、②地域包括支援センターの役割や業務内容が地域住民に知られていないこと、③地域の高齢者の実態把握のためのアウトリーチが不足していること、④医療機関との連携が進んでいないこと、⑤成年後見等権利擁護の役割が十分果たせていないことなど、多くの課題があります。

今後も委託法人の増加が予想される中で、責任主体である市区町村が、管内の各地域包括支援センターの課題を把握し、調整、統合を行ったり、センターに対して課題解決のための明確な方針を示して、積極的に支援していくことが期待されています。

以上


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